──マンスリーバロ。今回は3月と4月をまとめてお届けです。かなり移動が多かったようですね?
バロ はい、韓国、タイ、アメリカと、出張が続きました。それぞれまったく目的も文脈も違うんですが、振り返ってみるとそこでは一貫して「今、自分たちLunaToneは何者なのか?」と問われ続けていたように思います。
──印象的なエピソードから聞かせてください。
バロ 3月末に行った韓国のSKテレコム本社で、未来社会を体験するツアーに参加したことが強く心に残っています。社内のあるフロアがまるまる「2055年の仮想社会」を模した展示空間になっていました。ハイパーループによる超高速移動、AIによる遠隔診療、仮想空間での教育……テクノロジーと社会ビジョンを融合させた「プレゼン型テーマパーク」でした。予算も演出も本気で、まるでディズニーランドのような没入感があった。
「自分たちが描く未来」を本気で見せようとしている。以前テンセント本社で似た体験をしたことがあったけれど、韓国の企業文化には“洗練された見せ方”への強い意識があるように感じます。
韓国・ソウルのSKテレコム本社。
──未来から逆算して現在がある。なぜ自社がいまこのような取り組みをしているのかを説得力豊かに見せているのですね。タイではいかがでしたか?
バロ はい。ミシガン大学と共同でやっている教育プログラムの仕組みを、タイの大学にも導入できないかと。現地の教育関係者といろいろ話してきました。ちょうどタイではヴァロラントの大会「VCT 2025 Masters」の決勝もあり、それを現地で観戦したのも刺激的でした。
──どんな雰囲気でした?
バロ 会場はモールの屋上にあるシアターを改装した空間でしたが、観客の熱量がすごい。日本だと演出や音響で盛り上げることが多いけれど、タイでは観客自身がアクションする。試合の展開に合わせて自然発生的に応援団みたいな役割を担う人が現れて、熱狂がうねるように会場へ波及していく。国民性でしょうか。日本との文化的な違いがはっきり感じられたことは良い学びでした。
──4月は再び韓国、そしてアメリカへ?
バロ 再訪した韓国では、日本の中堅企業の方々とeスポーツの試合観戦を組み合わせた商談サポートを行いました。医療ITや電力系の企業など、eスポーツと直接関係なさそうな分野の企業でもeスポーツでなにかできることはないか関心があるようです。「共通体験」をもとにカスタマーとの関係を構築できることは、eスポーツの強みでしょう。
──そしてアメリカではテネシー大学で講演を?
バロ はい。ノックスビルという町にあるテネシー大学で、人文学系の研究機関から招かれて講演をしてきました。テーマは「ゲームと教育と社会」。
ちょうど学内ではLANパーティも開催されていて、数百人の学生がゲーミングPCを持ち寄って徹夜でゲームをするイベントと並行して、セミナーも行われるという珍しい構成でした。LANパーティーがカルチャーとして定着している点が興味深かったですが、教える側もeスポーツやストリーミングのカルチャーを上手に活用しているところが面白かったですね。Red Dead Redemptionを教材に歴史の授業をしてベストセラーを書いた教授がいたり、YouTubeで統計学を配信してる先生がいたり。授業をエンターテイメント化することで、学生の能動的な授業への参加を促していました。


──教育×エンタメ、まさにLunaToneのドメインですね。
バロ 実は今回の出張で、自分たちの構造がより明確に見えた気がします。LunaToneは「eスポーツを手段として用いるコンサル・制作集団」であって、eスポーツ業界そのもののクリエイティブに属しているわけじゃない。業界支援はあくまでも入口であり、eスポーツから外部に開かれる扉で、LunaToneのビジネスは「eスポーツをツールとして、教育・観光・地域創生などに展開するソリューションの提供」なのだということが明確に感じられました。
──“再定義”ですね。
バロ これまでもそうでしたが、よりはっきりと言語化できるようになったのが自分のなかで大きいポイントです。たとえば今、韓国で流行しているeスポーツ選手のファンメイドドキュメンタリーに刺激を受けて、日本でも選手個人にフォーカスした映像企画を進めていますが、それはただ勝った負けたじゃなく、その人の歩みや選択、心の動きを描けるようなものを作っています。
──「ゲームの中」ではなく、「人の中」にストーリーを見出していくということですね。
バロ そうです。それはたぶん、教育ともツーリズムとも地続きなんですよ。移動が多かった分だけ、視点を切り替える機会にも恵まれた。そんな2ヶ月でしたね。
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